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上部工がトラス形式のBergsoysund橋と箱桁形式のSalhus橋(Nordhordland橋)の設計手法はそれぞれ独立しており、静的解析と、風や波浪に対する動的応答解析プログラムをDNVが整備し、1/40の模型を使った水槽試験をMarintecにて行い、波浪による動揺の検証を行った。設計手法は荷重係数設計法(Load Factor Design)を用い、風・波浪共100年期待値を考慮して荷重係数と安全率を設定しており、この他に活荷重や施工時の設計条件として、1年期待値を用いた荷重組み合わせも設定している。
Bergsoysund橋の7つのポンツーンは、浮力をかせぐためにプレストレスト軽量コンクリート製で、スタヴァンガーの製作ヤードで造り、トロンハイムの上部工製作ヤードに曳航し、上部のトラス構造を搭載した後に、再び曳航して現地付近の海上で全橋分を一体に繋ぎ、タグボートで引いて架設した。製作に16ケ月掛かったが1日で架設できたと自慢していた。
浮体橋の端部とアバットは、イタリア製の高降伏強度(550MPa)をもったフレキシブルロッドで結合して、軸力とねじりおよび鉛直・水平せん断力のみを伝達し、水平・鉛直2方向の回転を許し、潮位差や波浪による海面の変動に対処している。
安全対策と維持管理のために、ポンツーン内への浸水やハッチの開閉探知、橋梁の動揺および限界応力に対する警報、鉄筋の腐食等を監視するためのモニタリングシステムが備え付けられており、監視室にオンラインで記録されている。橋体応答モニタリングシステムに関して、橋体の動揺の実測データと設計値との整合性の検証について質問したが、規定値を超えるデータは取れていないため問題はないということで、それ以上の議論には及ばなかった。
日本側からは、波浪を考慮した弾性体の応答解析手法を説明して、従来法では橋体を剛体としていたために現象が現れなかったが、弾性体として動揺解析を行うとねじりや水平方向の挙動に影響が出るため、設計に考慮する必要があると事例を示したところ、興味を示した。また、水槽実験に関して、解析値と実験値の対応について意見を求めたが、明快な答えは得られなかった。

 

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